01441-081020 専用書体
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GR Digital 2007
デザイン雑誌『AXIS』は2001年9月のリニューアルに際し、専用書体(フォント)を開発しました。
「AXISフォント」。その雑誌のためだけに作られたフォントセットです。
フォント、書体は、誌面、書面全体の雰囲気に大きく影響します。
演奏家の音楽表現は、ひとつひとつの音色から。
雑誌のデザインは、ひとつひとつのフォントから。
要素が全体を規定する。
だから雑誌のデザインをつきつめれば、フォントから起こしていくのは必然。
でもそれはコストと時間のかかる大きな仕事です。
雑誌AXISはそれを実現したのです。
AXISフォントはその後、大きな注目を集め、フォントとして単独で売られ、様々なところに使われるようになりました。
たとえば肥薩おれんじ鉄道と西武鉄道では、駅の案内表示板などにこのフォントが使われているそうです。
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さてshioの測量野帳(コクヨ・セ-Y3・スケッチブック)。
専用書体を開発しました。
開発期間3日。
手書きなので開発コストゼロ (^_^)
厳密に言えば、shioが従来書いている文字の縦線を約63度に傾斜させただけの「イタリック体(斜体)」であって、いわば「フォントファミリーのひとつ」。とはいえこの測量野帳を使い始めなかったらこうは書かなかったと思います。なのでshio的には明らかに「測量野帳専用フォント」、名付けて「野帳文字(やちょうもじ)」です。
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測量野帳を書き始めてからの自分の筆跡を追っていたら、徐々に傾いた文字が多くなっていくことに気づきました。
どうしてだろう。
3日目にそれを考え始めました。
考えていたら、合理性に気づきました。
以後は意識してこの「野帳文字」で書いております。
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最大の理由は、その筆記姿勢。
以下、右手で書く場合を想定しています。
普通のノートにデスク等で筆記する場合、現在文字を記入しているポイントの右下に、手を置きます。
でも、立ったまま測量野帳に記入する場合、その書き方だと、ページの右側1/3ほどのエリアに書く際には手の置き場を失ってしまいます。
そこで、記入しているポイントの真下あたりに手を置けるように、測量野帳の方を左に30度ほど回転。
この状態で普通に縦のラインを引くと、ちょうどイタリック体を書くような角度に傾斜するのです。
デスクで書くときもその角度を踏襲。
縦線が平行で美しい。
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次にその角度がどこから来るのかを考えました。
なぜこの角度なのだろうか。
自分の筆跡や筆記姿勢などをよく観察しました。
腕の角度などの要因もあるけれど、ひとつ大きな理由が判明。
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縦に2マス並んだ方眼の右上角から左下角に引いたライン。
それが、「野帳文字」の縦線の角度になっています。
その角度は、直角を挟んで底辺が1、高さが2の直角三角形がなす角ですから、
tanθ=2
したがって、
θ=約63.435度
です。
だからこの傾斜は約63度。
方眼が知らず知らずに文字の傾斜角に影響を与えていたようです。
方眼紙を使うと、縦横のラインがそろうだけでなく、文字の傾斜も揃いやすいというメリット発見。
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「野帳文字」は、狭い帳面に立位で筆記する際、方眼の潜在的な助けを借りて生まれた文字、というわけです。
カリグラフィーでカッパープレイト体を書くときは、もう少し傾斜させる(だいたい52~62度)のですが、そこまでは寝ていない軽いイタリック体になりました。
野帳文字で書くと、欧文と和文が混在していても、縦の線が並行していて美しい。
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美しいって大切です。
ノートをいかに美しく書くか。
小学校以来、shioのノート術は、美しさを追求してきた歴史でもあります。
「ノートを美しく書く」という価値観を教えてくださった小学校1、2年生のときの担任、梅根先生に感謝!!
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大学教員は学生に何を伝えられるだろう。
日々その模索が続きます。
楽しい (^_^)
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